健康姿勢人
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“姿勢人”
“e-Shisei Now”
発刊にあたって
 
 約50年前(手許にある1947年のデータによると)日本人の平均寿命は、約50才(男性50.47才 女性54.07才)であった。その頃、老人と呼ばれるのは、平均寿命を超える人達だった。

 今、老人と呼ばれるのは、65才以上の人達である。ちなみに平均寿命は約80才(男性76才 女性84才)であるから、現代では平均寿命より遥かに若い年齢で老人となる。昔のひそみにならえば80才以上が老人でなければならない。、社会制度や通念が、平均寿命の伸びに照応していないということもあると思われるが、他方で厳しい現実もある。

 生活習慣病の問題である。
 生活習慣病は、昭和20年代「老人病」であった。昭和30年代に「成人病」と呼称を定められ、つい最近(平成10年)まで、そう呼ばれて来た。
 過去においては文字通り、老人が患る病気だった。
 それが昭和45年から50年頃を境に罹患年令が急速に低年令化してくる。そのことが相対的老人年令の低下をもたらしたといえる。

 経済は豊かになり、社会整備は進み、健康保険制度は確立し、医療は充実し、生活環境は遥かに良くなったはずなのに……昭和55年(1980年)この年、国民医療費が一兆円を超えた。旧厚生省は「アクティブ80健康プラン」を建ち上げる。国民こぞって健康増進に励み、医療費支出を抑えようというわけである。10年後、今度は旧労働省で「トータルヘルス・プロモーションプラン」(呼称T.H.P)が始まる。この年、国民医療費10兆円となる。国民総生産(GDP)436兆円、世はバブルの真只中であった。その後10年のうちにバブルは崩壊し社会は混乱と諦めの時代即ち「失われた10年」である。国民医療費は、30兆円を超した。

 生活習慣病は、国民病となる。
 国を挙げての健康希求運動は部分的に効果を上げたが、全体では成果とならなかった。
 何が問題であったのかと考えてみると、1980年当時健康上の問題は、
  1. 運動不足 
  2. 栄養過多 
  3. ストレス・オーバー
  と、三つの側面からアプローチしたのであるが、

 A. の運動不足の分析が不十分であったため、どんな運動が不足しているのか見極めずにスポーツを 処方することで解決しようと計ったのである。その後15年位経ってはっきりして来たのであるが、日常生活活動の不足つまり「歩くことの不足」であることが解ったのである。(ちなみに筆者は1982年当時から「アクティブ80健康プラン」に関わって来たのであるが、当初より「歩くことの不足」を訴え続けて、圧倒的多数のスポーツ派指導者と対立していたのである。)

 B.の栄養摂取過多の問題でも同様の問題があった。
当時、社会は経済発展に浮かれてグルメブームであった。そこへにわかに食事制限。粗食が良いと言われても、多くの人がなかなか従えなかったということである。そのことは今も続いている。

 C.のストレス・オーバー対策は、言い換えるとメンタルヘルス増進ということになるが、これは日本文化の底辺にある問題に、対策を始めた早々につきあたる。日本人は精神科にかかることは、タブーなのである。ただ単に心理学者に相談していると言うだけで「頭がおかしいのではないか」と思われる社会風潮が近年まであった。そのことについての恐怖感がメンタルヘルスの先生に、相談することをためらわせるという全く馬鹿げた実態があったのである。

 メンタルヘルスの効果も思うようには、あがらなかった。こう見てくると全滅である。筆者は何も「健康増進対策」に真剣に取り組んだ機関や、研究者にケチをつけようとしているわけでは無い。決してそうではないのだが、ただ過去の健康増進の国家プラン(「アクティブ80健康プラン」でも「T.H.P」でも)では、『人間とは何か?』という視点が、どうも抜け落ちていたように思えてならないのである。人間とは現在に生きる「生き物」である。現在とは夫々の人々の生きた時代である。それは、過去から現在を貫いていながら、多くの人々にそれとはっきり意識されなかったこと、そしてさらには未来の時代の価値形成の基礎となるような概念規定であるべきである。
それが「姿勢」である。
2002.07.31